君の手が楽しげに林檎の皮を剥いていた。くるくると回る林檎から細長く繋がって、皮の先端は床に届こうとしている。螺旋の間に見える赤が下の方に移動しつつ、息を止めてゆく。僕は腕を伸ばして、林檎の皮の先を掴むと引っ張った。「あ、」 細長い皮は林檎から離れて落ちた。「せっかくここまで繋がっていたのに」 君の...
君の手が楽しげに林檎の皮を剥いていた。くるくると回る林檎から細長く繋がって、皮の先端は床に届こうとしている。螺旋の間に見える赤が下の方に移動しつつ、息を止めてゆく。僕は腕を伸ばして、林檎の皮の先を掴むと引っ張った。「あ、」 細長い皮は林檎から離れて落ちた。「せっかくここまで繋がっていたのに」 君の...
地上から吹き込む雪が駅の階段を濡らしていた。踊場から見上げると入口の蛍光灯が眩しく、夕闇さえ淡く滲んでいた。冷たい空気が耳を打つ。雪は運河の波間に、タイルの舗道に、結晶模様を刻むかのように落ち続けて誰の眼にも映らないまま消えてゆくのだった。 僕を追い越してゆく車の尾燈の赤い眼も、すれちがう男の傘の...
久しぶりにあの時の夢を見た。きみの夢を見た日は声が出なくなる。 汚物にまみれて気を失った僕は、病院のベッドで目を覚まし、きみの死を知らされた。僕は右脚骨折と右腕の打撲で済んだが、退院する日まで喋ることができなかった。一度きみの両親が見舞いに来てきみを返せと言った時も、そしてすぐ「すまない、君のせい...
赤い砂が床にこぼれていた。 遠くから見た時、それが血に見えて一瞬目の前が光に刺されたように痛んだ。けれど実際、その赤はチカチカと光を撒いており、そのため濡れているように見えたのだろう。鮮やかな赤は見覚えある砂で、瞬いているのはガラスなのだと判った。 机の隅にある筈の砂時計がない。ぐるりと部屋を見回...
今年のレンタルサーバー契約更新をせずそのままホームページを閉鎖しようと思ってましたがやっぱり続けたいと思ったので作品を整理しました。
けれど今はパソコンよりはスマホでネットを見る人が多いということも実感していて(今更HPって感じ?)そちらも対応したいな、と『小説家になろう』と『エブリスタ』を見直し...
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