Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



銀の弾丸(クリスマスローズ)

凍てつく夜の帳が下りる頃
街の隅、誰も見向きもしない庭の片隅で
奴は項垂(うなだ)れていた
まるで、自らの罪を数える男のように。「クリスマスローズ」――
甘い名前に騙されるのは、素人だけだ。
奴の真の名はヘレボルス。
古(いにしえ)の言葉で「殺す植物」を意味する、
白銀のコートを纏った殺し屋さ。項垂...

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凍てつく庭の殺し屋(ヘレボルス)

誰も見向きもしない
二月の終わりの、湿った土
寒さに震える男の懐みたいに
そいつは項垂(うなだ)れて、そこにいる白か、紫か、それとも陰気な黒か
清楚? 笑わせるな
その項垂れた顔の裏には
冷徹なヘレボリンが隠されている「私の不安をやわらげて」だと?
皮肉な花言葉だ
触れれば、毒が回る
過去の記憶みた...

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追憶の雨線

アスファルトが濡れた黒い鏡に変わる夜、
街灯の光は、安物の宝石のように歪んで滲んでいた。
路地裏のバーの扉を押し開けると、
湿った空気と一緒に、あの低いハミングが流れ出す。
奴がいたのは、荒野ではなく、このコンクリートの迷宮。
コートの襟を立て、帽子を深く被り、
誰にも見えない「何か」から逃げるよう...

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春の嵐

ガチャン、と受話器を戻す。
鉄の感触が指先に残り、世界は再び雨の音に支配された。一歩外へ踏み出せば、春の嵐が容赦なくコートを叩く。
それは優しさなど微塵もない、すべてをなぎ倒そうとする暴力的な風だ。ポケットの中で、沈黙したままのスマホが揺れる。
さっきまで繋がっていた受話器の温もりとは対照的な、冷徹...

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雨の公衆電話

土砂降りのなか、緑の箱だけが浮いていた。
水滴のヴェールに包まれた、孤独な潜水艦だ。ポケットで文鎮と化したスマホを弄る。
デジタルが死んだ街で、俺は硬貨の重みを頼りに歩いた。錆びついたドアを引くと、湿った安堵が鼻をつく。
受話器を上げれば、そこにはまだ「生きた」音が流れていた。
絶え間ないノイズ――...

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