「もう会えない」Ⅲ-1
- カテゴリ: 自作小説
- 2019/01/13 00:53:46
Ⅲ
年末年始を、私は何をするでもなく、ただぼうっと過ごした。 何もする気になれなかった。 余りに淋しくて、テレビをつけてみたものの、音は右から左へとただ流れていくだけだった。 思い出すのは、翔の温もり。 抱きしめられた時の、しなやかな...
少しずつ再開していきたい、です。できるかな・・・
Ⅲ
年末年始を、私は何をするでもなく、ただぼうっと過ごした。 何もする気になれなかった。 余りに淋しくて、テレビをつけてみたものの、音は右から左へとただ流れていくだけだった。 思い出すのは、翔の温もり。 抱きしめられた時の、しなやかな...
Ⅱ
昨日のあれは、なんだったんだろう。 そんな風に考えてしまうような、翔との出会いだった。 夢ではなかったとわかったのは、会社を出ると、そこに翔がいたから。 パステルブルーのパーカーのフードにふわふわの白い毛が付いているのも、白のほっそりとしたパン...
年末に向けて、残業が続く毎日。 その日もサービス残業を終えて、私はオフィスビルを出た。 寒くなって恋人同士がいちゃつく姿を見ても、独り身を淋しいともう思わなくなった。それは、34歳という年のせいなのか、仕事が忙しすぎるせいなのか。 「おねえさん」 お...
「鏡」
私は自分の顔をよく知らない。毎朝、出勤する前に化粧をする時は、パーツしか見ないし、洗面台で髪を整えている時も、髪しか見ていない。鏡で自分の顔をちゃんと見たことがないのだ。
それは、子どもの頃、自分のことが嫌いだったから。母が、私のことを嫌っていたから。
私を見る時、母の顔は変にゆがんだ。い...
「秘密」
私には、秘密がある。
リビングで遊んでいる、夫と3歳の娘。夫は娘を溺愛し、私には『いやいや反抗期』の娘も父親だけは慕っている。
娘は、夫に似ていない。世間では、最初の娘は父親に似るというのに。
「さちね、大きくなったらパパのお嫁さんになるの」
よくある言葉。私には向けたことのない笑顔で娘...