私がそう言うと彼は、そうなんだ、行こうかな、と言った。それは相槌のようなもので、きっとこの先どうしようとか、そういう計算はきっと全然なくて、彼は、うん、とか、へぇ、とか言う代わり言っただけ。もちろん、当たり前だけど、そんなこと、私だって分かっているのだけど、そう思いたくなくて、いや、本当は思ってい...
私がそう言うと彼は、そうなんだ、行こうかな、と言った。それは相槌のようなもので、きっとこの先どうしようとか、そういう計算はきっと全然なくて、彼は、うん、とか、へぇ、とか言う代わり言っただけ。もちろん、当たり前だけど、そんなこと、私だって分かっているのだけど、そう思いたくなくて、いや、本当は思ってい...
勢いあまって前のめりに倒れながら、かろうじてその切っ先をかわすことができた。
直後、首筋にチクリとした痛みを感じ反射的に触れてみると、掌が真っ赤に染まった。
「・・・痛・ぅ・・」
首筋を押さえたまま片手で身を起こす。
その様子をじっと見下ろす奇妙な片眼鏡(モノクル)をかけた燕尾服姿の男。右手には...
分かる訳がない
私たちは違う生き物なんだ
それはもう
徹頭徹尾、違うものだ
だからこそ
知りたいと思えるし
だからこそ
一瞬でも通じ合えればそれだけで嬉しい
「それなら教えてくれ、あんたのことを」
彼は答えることが出来ない
彼の世界には言葉がない
彼の世界は彼から始まって彼で終わる
とどのつまり...
きっと不幸なのは彼であって私ではない
私は彼を見つめる
彼は私を見ない
私が見ている限り
彼はいつだって笑っている
彼の周りの有象無象を笑わせている
私が覚えている限り
私は笑ったことはないし
私の周りには何も無い
彼は弱い人間だから
自分を嘘で塗り固め
他人に嘘をばら撒き
嘘だらけの...
朝食はハンバーガーだった
ダインングのテーブルにポツンと置かれていたハンバーガーを手に取る
なるほど
時間のない朝にはうってつけのチョイスだ、感心しながら咀嚼する
だが、しかし今日は休日
日曜日だったりする
何となく釈然としない思いを抱えたまま朝食を終えた
壁に掛けられた時計を見る
9:32...